Mail magazine中国知財ニュースレター 第五号

No.005中国知財ニュースレター 第五号

2017.02.03

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 中国知財ニュースレター 第五号 2017.2.3
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 VANZEN & Beijing East IP
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 ◆ 中国IPオピニオン 第五回
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【中国『消費者権益保護法』における懲罰的損害賠償制度】(五)

 前回は『消費者権益保護法』第55条の定める懲罰的損害賠償が不法行為によるものなのかそれとも契約違反によるものなのかを見てきました。今回は消費者が製品の瑕疵を知りながら購買したケースの懲罰的損害賠償に関する問題を紹介します。
 この問題に関して一番有名な人物は王海です。私が中国上海にいたころに起こった問題で、その当時様々な意見がメディアを飛び交い多くの議論がなされたものでした。特に中国では多くの問題ある商品や偽物がその当時から出回っていたので、王海の行為をどのようなものと看做すかは社会全体にとって大きな意義を持っていたのです。王海は『消費者権益保護法』の規定する懲罰的損害賠償を狙って故意に瑕疵のある製品を購買しました。そして購買後、『消費者権益保護法』に依って販売者に対して購買費用の返還と損害賠償金を要求したのです。彼の起こした裁判には日本の企業や製品も関わっていました。例えば王海は1996年8月から一か月ほどの期間で天津の伊勢丹百貨店で総額14600元のソニー製無線電話機5台を購入しました。また同年9月には天津永安会社から総額6346元で日本ソニー製無線電話機2台を購入しています。
 王海は以上の二つの製品を購買した後、それぞれ別々に販売者を提訴しています。ネット参入許可証の取得なしに中国国内市場では販売及び使用が許されないことが提訴の理由です。この王海の起こした二つの裁判はそれぞれ異なる結果となりました。一つ目の天津伊勢丹有限会社に対する裁判は一審の天津市和平区人民法院が王海の懲罰的損害賠償請求を支持し、二審の天津市第一中級人民法院も懲罰的損害賠償責任を認めました。それに対し王海が天津永安会社へ提訴した事件では、一審の天津市河北区人民法院は会社の懲罰的損害賠償責任を否定し二審の天津市第一中級人民法院も同様に責任を否定しました。
 以上の内容から見てとれるように、中国の懲罰的損害賠償は裁判所においても多くの意見が分かれ、論議があることが分ります。瑕疵がある製品や海賊版のような製品に対する購買行為と懲罰的損害賠償に関する実際の裁判例は日本企業にとっても他人ごとではありません。引き続きより詳細に紹介をしていこうと思います。

<佐藤孝弘>
バンセン合同会社COO、法学博士、北京大学企業と会社法研究センター客員研究員(教授格)、華東政法大学経済法律研究院客員研究員(教授格)、単著2冊、翻訳1冊(翻訳代表)、中国語、英語等で50編以上学術論文発表。中国での滞在は23年間におよび、弁護士事務所、コンサルティング会社などで法務やコンサルティング業務に関わる。現地の弁護士事務所と共に知財関連の講座を10数回開催する。


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 ◆ 中国IPニュース
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■1.最高裁は知的財産上訴法院の設立を検討
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最高人民法院副院長の陶凱元は、最高裁プロジェクトは「京津冀(北京市、天津市、河北省)技術類案件の地区を跨る管轄業務リーダーグループ」を設立し、総合的に調整を行って京津冀においていち早く知的財産法院案件の審判体制の改革を促進する、と表明した。着実な研究を行い具体的な方案を試行し、知的財産を専門とする審判が京津冀におけるイノベーション主導型発展推進の作用を確実に発揮し、京津冀がイノベーション共同体を協力して形成し、経済のモデルチェンジと科学の発展を実現するために力強い司法支援を提供する。国家戦略レベルから検討して国家レベル知的財産上訴法院を設立する必要があり、関連部門と共同で充分に論証を行い、細部にまで改善を行った方案を作成し、国家知的財産上訴法院設立促進を図る。

http://www.iprchn.com/Index_NewsContent.aspx?newsId=97010


■2.北京市はソフトウェアアプリケーションマーケット版権保護の基準化業務に着手
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11月30日、北京市はソフトウェアアプリケーションのマーケットにおける版権保護の基準化会議を北京にて開催し、北京市はソフトウェアアプリケーションのマーケット版権保護の基準化業務を正式に始動したと表明した。会議では、北京市版権局は『ソフトウェアアプリケーションのマーケットにおける版権保護の基準化に関する通知』を発表した。本通知は全国で初めてのソフトウェアアプリケーションのマーケットにおける版権保護の基準化に関する文献である。
北京市版権局副局長の王野霏は、北京はソフトウェアアプリケーションのマーケットにおける版権保護の基準化を今後の重点業務とし、『ソフトウェアアプリケーションのマーケットにおける版権保護の基準化の通知』の要求に照らし合わせて、組み合わせソフトウェア正規化業務をソフトウェアアプリケーションマーケットの経営活動に対してリンクさせ監測と法に照らして監督管理を行い、APPソフトウェアに関わる海賊版行為による権利侵害を根絶し、ソフトウェアアプリケーションマーケットを正規版ソフトウェアの流通手段とする、と説明した。

http://www.iprchn.com/Index_NewsContent.aspx?newsId=96722


■3.中国知的財産法院はスピード審理制度を促し、司法への訴えがより安く手軽に
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12月15日、映画俳優楊子の個人ブランド「天珠伝奇」の商標登録を国家工商行政管理総局商標評審委員会が拒絶したことに対して提訴した一案の開廷審理が行われた。紛争の焦点である「天珠伝奇」の図と文字商標ははたして「天珠」という西藏天然材料の製品名称と違いがあるかどうかについて法廷調査、弁論が行われ、本開廷は30分もかからずに終了した。「天珠伝奇」のような商標拒絶査定不服審判行政案件の事実は明らかであり、法律関係も明確で、当事者の権利義務も明確であり、スピード審理制度の条件に適合する。
情報によれば、知的財産法院が受理した案件において、商標拒絶査定不服審判行政案件の割合は高く、2015年を例にすると、該法院が受理した案件の三割がこの種の案件であった。北京知的財産法院は今年2月に立案廷にスピード審理チームを設立して商標行政案件に対して集中審理を実行している。立案後、案件はまとめてスピード審理サービス窓口に転送され、即時に開廷伝票が作成され、開庭時間と地点が決められる。スピード審理チームの設立から9ヶ月余りの間に、結審した商標拒絶査定不服審判行政案件は1467件に達し、結審までの平均時間は以前と比較して1ヶ月短縮された。杜長輝廷長は、法院は今後さらにスピード審理制度の運用を追求し、司法権力の運用を基準化すると表明した。

http://www.mysipo.com/article-7913-1.html


■4.北京知的財産法院は5000万元の最高賠額判決を下す
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12月8日、北京知的財産法院は「U盾」特許権利侵害訴訟において、北京握奇データシステム有限公司に一審勝訴の判決を下した。被告の恒宝公司は握奇公司の経済損失4900万元及び弁護士費100万元を賠償するよう命じられた。本案は北京知的財産法院建院以来最高の賠償判決であり、また弁護士費賠償の審査原則を初めて容認した案件である。
注目すべき点は、北京知的財産法院は本案判決書の中で、初めて時間による料金請求方式で弁護士費用を計算し、且つ初めて代理の必要性、案件の難易度、弁護士の実際の労力等弁護士費賠償審査の原則を容認した。握奇公司が提示した100万元の弁護士費に対して、本案の運営を担当する裁判官である何暄は、握奇公司が提供した法律事務所の時間による料金請求方式は、現在弁護士業界で通常採用されている料金請求方式の一つで、法律法規に違反しておらず、訴訟の合理的な支出の中の弁護士費計算のよりどころとすることができると認めた。

http://www.iprchn.com/Index_NewsContent.aspx?newsId=96815


■5.最高人民法院は「喬丹」商標案判決書の判決を変える
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先日、最高人民法院は「喬丹」商標紛争行政紛争の一連の案件に対して公開で判決を言い渡した。「喬丹」に係る商標3案件について、商標評審委員会は紛争の商標に対して改めて裁定を行うよう命じた。ピンイン「QIAODAN」に係る4案件、及びピンイン「qiaodan」に係る関連図形との組合せ商標3案件に関しては、最高人民法院は喬丹体育は今後も継続して合法的に使用する権利を有すると裁定を下した。

http://www.weixinla.com/document/98925491.html


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元中国国家知識産権局局長の高盧麟が会長の中国北京の特許事務所&法律事務所で、主に海外企業へ中国での特許・実用新案・意匠・商標等の出願、特許調査、無効審判・訴訟代理、セカンドオピニオンの提供など知的財産のトータルサービスを提供しています。東京にも事務所があります。

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バンゼンは日本の技術と中国をはじめ世界各国の技術を紹介し、企業ビジネスマッチングのトータルサービスを提供しています。

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