Mail magazine中国知財ニュースレター 第八号

No.008中国知財ニュースレター 第八号

2017.05.10

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 中国知財ニュースレター 第8号 2017.5.10
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 VANZEN & Beijing East IP
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【中国『中外合資経営企業法』等における外国側の知財での出資】(二)
 前回は中国で外資企業を設立する場合、外国側が技術を出資する場合が多くなっていく傾向があることを少し触れました。技術の投資は今までも多くなされてきましたが、日本の多くの中小企業では技術を特許などの形式ではなく、ノウハウとして所有しているケースも多くあります。ノウハウは中国で現地企業を作る際に投資することは出来るのでしょうか?実務上の問題と法律上の問題がそこにはありますが、以下ではまず法律的にどうなのかを考えてみたいと思います。この問題に関しては法的に混乱している状態です。特に中国「会社法」と外資系企業に関する諸法律との間では異なる規定がされていて、少し理解が難しい内容となっています。
 90年代にできた中国「会社法」と80年代に主にできた外資系企業に関する諸法律との間の関係は前者が新法、後者が旧法といった関係があります。一般的には新法は旧法に勝るということが言えなくはないのですが、同時に、前者と後者の関係は一般法と特別法の関係にもたっており、その関係から特別法の規定は一般法の規定に優先して適用されることになります。それ故、「会社法」は特別法である「中外合資経営企業法」などの外資系企業に関する諸法律に規定が置かれていない場合に初めて適用されるという扱いとなります。「会社法」第218条にもその状況を説明して明文で「外商投資の有限責任会社と株主有限責任会社はこの法律を適用する。外商投資に関する法律が異なる規定をするときはその規定を適用する」と規定されています。それ故、外商投資企業に関する法律を適用する中外合資企業などの外資企業と、「会社法」を適用する中国人だけによって設立される内資企業との間には様々な違いが存在しています。また外商投資企業に関する法律も「中外合資経営企業法」、「中外合作経営企業法」、「独資企業法」と大きく三つの柱からなっており、その規定する内容もそれぞれ異なること、また規定していない内容もそれぞれ異なることによって、それぞれの企業形態によって「会社法」が適用される内容、範囲も異なるものとなっています。 出資形態の中でも現物出資、特にノウハウの出資に関しては会社法の規定と外商投資企業関連の法律では大きく違いがあります。海外の弁護士等にはノウハウの投資を肯定する意見もありますが、投資額の評価が問題になるなどの理由でノウハウの投資に関して否定的な意見も多くみられ、ノウハウをどのように投資するのかは明らかになっていない点も多く混乱している状態です。


<佐藤孝弘>
バンセン合同会社COO、法学博士、北京大学企業と会社法研究センター客員研究員(教授格)、華東政法大学経済法律研究院客員研究員(教授格)、単著2冊、翻訳1冊(翻訳代表)、中国語、英語等で50編以上学術論文発表。中国での滞在は23年間におよび、弁護士事務所、コンサルティング会社などで法務やコンサルティング業務に関わる。現地の弁護士事務所と共に知財関連の講座を10数回開催する。


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■1.新改正の『専利審査指南』は4月1日より施行
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新改正の『専利審査指南』は2017年4月1日より施行される。改正の内容は、第二部分第一章の改正(権利付与できない出願について)では、ビジネスモデルに関する請求項について、ビジネスの法則と方法の内容を含むとともに、技術的特徴も含むものであれば、専利法25条に基づいてその専利権を取得する可能性を除外してはならないとした。第二部分第九章の改正(コンピュータプログラムに係る発明専利出願審査についての若干規定)では、「媒体 + コンピュータプログラムフロー」との請求項の記載方式を許可することをさらに明確にした。第二部分第十章の改正(化学分野の発明専利出願審査の若干規定)では、審査官は出願人より補足提出された実験データについて審査しなければならず、また補足提出された実験データにより証明された技術效果は当業者が開示の内容から得られるものでなければならないとした。第四部分第三章の改正(無効審判請求の審査)では、一点目は専利ドキュメントの補正形式を適度に緩和し、請求項にその他の請求項に記載された一つまたは複数の技術的特徴を追加して保護の範囲を限縮すること、また請求項の明らかな誤記を補正することを許可するとし、二点目として請求人が「利権者が削除以外の方法で補正した請求項について」無効理由を追加する場合、「補正内容に対して」のみ無効理由を追加することを明確にするとした。第五部分第四章の改正(専利出願ファイルについて)では、閲覧と複製を許可する内容が追加された。第五部分第七章の改正(期限、権利の回復、中止)では、民事裁定書及び執行協力通知書に財産保全期の中止期限明記するよう規定した。

http://www.sipo.gov.cn/zscqgz/2017/201703/t20170306_1308644.html


■2.国家工商総局は商標ネット出願を全力を挙げて促進
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3月10日より、商標代理機構、国内出願者、中国に住居或いは営業所のある外国人或いは外国企業は「中国商標ネット — ネット出願」サービスにログインすると、商標登録出願手続きが可能になる。商標ネット出願の促進は商標登録便利化改革における重要な取り組みで、これにより中国の商標登録出願が「四つのネット」、即ちネット出願、ネット照会、ネット公告、ネット納付のすべてが中国商標ネット上で行えるようになり、出願者は更に便利で高効率のサービスを受けられるようになる。

http://sbj.saic.gov.cn/sbyw/201703/t20170310_175613.html


■3.2016年中国版権10大ニュースが発表
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国家版権局はこのほど「2016年中国著作権10大ニュース」を選考し、「ソードネット2016」特別プロジェクトの成果が著しく、中国著作権産業のGDPに対する貢献が7.28%に達することを表した。著作権司法保護力が継続して強化され、『視聴覚的実演に関する北京条約』の発効により大きな前進を遂げたこと、全国著作権登録総数は200万件を突破したこと等を挙げ、また、中央政府が初めて批准する中国著作権金賞が表彰され、「徳化経験」を世界で共有し、5つの著作権グループ管理組織を全国業界協会関係整理モデル一覧に加えたことやインターネット企業が著作権保護主体として責任を積極的に履行し、「ネットワーク著作権産業研究基地」をTencent社に設立した、などの項目を選出した。

http://www.ncac.gov.cn/chinacopyright/contents/518/317346.html


■4.最高人民法院は10件の知財分野指導性判例を発表
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最高人民法院審判委員会は、北京奇虎科学技術有限公司がTencent科学技術(深セン)有限公司と深セン市Tencentコンピューターシステム有限公司を市場支配地位の濫用で訴えた紛争案等を第16回指導的判例として10件の判例(指導判例78-87号)を発表し、類似案件審判の際の参考として提供した。
今回発表したのは最高人民法院第16回指導的判例で、すべて知的財産分野の判例で、9件の民事判例と1件の刑事判例を含む。民事指導的判例は主に著作権侵害紛争、商標権権利侵害紛争、特許権権利侵害紛争、植物新品種権権利侵害紛争、独占禁止分野における取引紛争、市場支配地位濫用紛争等におよび、刑事指導性判例は偽造商標犯罪におよぶ。

http://www.legaldaily.com.cn/index/content/2017-03/09/content_7045576.htm


■5.北京知的財産法院:許諾販売行為の承認は商標侵害にならない
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許諾販売行為の承諾は特許権利侵害案件において益々増加しているが、商標侵害案件に出現した場合如何に認定するべきか?2017年3月10日、北京知的財産法院が下した(2016)京73民終934号吉林長垣管業有限公司(以下、「吉林長垣公司」と称する)と北京航天凱撒国際投資管理有限公司(以下、「北京航天凱撒公司」と称する)の商標侵害二審民事判決は、まさに本問題に関連する内容である。本案中、控訴人(原審被告)吉林長垣公司が訴えられた権利侵害行為は許諾販売であると認定され、且つこれにより北京航天凱撒公司の登録商標専用権を侵害していないと認定された。

http://www.zhichanli.com/article/45210


■6.国家知識産権局は特許統計データ公開内容を調整
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中央巡視精神をさらに実現すさせ、特許品質を向上させ、特許統計指標のイノベーション指導作用をよりよく発揮させるために、2017年1月より国家知識産権局は特許統計データ公開内容に対して調整を行い、主に月ごとの特許出願数を公開し、特許受理数は公開しないと決定した。

http://www.sipo.gov.cn/zscqgz/2017/201702/t20170223_1308494.html


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 ◆ 中国知財豆知識
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『特許審査指南改正』(国家知識産権局第74号令)における無効審判請求のクレーム補正方式に関する解読『専利審査指南』の改正(国家知識産権局第74号令)は2017年4月1日より施行されます。
今回の改正では、無効審判請求における請求項の補正方式に対して適度に緩和する改正を行いました。
新改正後の審査指南第四部分第三章4.6.2補正の方式の規定は下記の通りです。
「前記の補正原則の下で、権利要求書に対する補正の具体的な方式は、一般的には請求項の削除、技術案の削除、請求項に対するさらなる限定、明らかな誤記の補正に限定される。

請求項に対するさらなる限定とは、請求項に、そのほかの請求項に記載の一つまたは複数の技術的特徴を追加し、保護範囲を減縮すること言う。」
即ち、改定前の「請求項の合併」が「請求項のさらなる限定、明らかな誤記の補正」に緩和されました。
上記の「請求項のさらなる限定、明らかな誤記の補正」はいつでも許可されるわけではなく、新改正後の4.6.3補正方式の制限の規定に基づき、下記の3つの状況についての答弁期限内にのみ補正することができます。

(1)無効審判請求書に対するもの。
(2)請求人が追加した無効宣告事由又は補充した証拠に対するもの、
(3)専利復審委員会が引用した、請求人が言及していない無効宣告事由又は証拠に対するもの。

また、上記の請求項補正方式の改正に対応して、請求人の無効審判理由と補足証据の追加に関する規定を調整し、請求人が「利権者が削除以外の方法で補正した請求項について」無効理由を追加する場合、「補正内容に対して」のみ無効理由を追加することを明確にし、その他の請求項に記載の技術的特徴を追加することにより請求項に対してさらに限定する補正に対しては、請求人は証拠の組み合わせ方法の調整はできますが、証拠の補足はできません。
上記の変更は特許権者と無効審判請求人に対して共に大きな影響を及ぼします。
特許権者に対いては下記のような影響があります。

1)無効審判請求中、請求項補正の自由度が大きくなり、必要に応じて、請求項にその他請求項に記載のひとつ或いは複数の構成要件を補足し、請求項合併式補正により起こる請求項保護範囲が過度に限縮される情況を回避することができます。
2)出願書類作成階段において、請求項レイアウトに対する要求は低くなり、必ずしも次第に限縮する方式で従属請求項を設置する必要はありません。
3)出願書類作成階段において、注意すべきことは、構成要件は簡潔明瞭でなければならず、これにより一つまたは複数の構成要件の区別をするのが容易になります。
4)明細書作成時に権利要求書中で限定される各種構成要件の組合に対して十分に支持を提供するよう検討しなければなりません。

無効審判請求人に対しては下記のような影響があります。

1)無効審判の準備階段において、全面的に権利要求書中で限定される各種構成要件の可能な組合せを検討する情況において、無効審判請求理由を選択し、証据を收集し、且つ証据間の組み合わせの可能性を検討する必要があります。
2)無効審判請求において、特許権人が請求項のさらなる限定の補正を行う際、まずこの種の補正が、専利(特許と実用新案、意匠を含む)法第26条第3項(実施可能要件)、同条第4項(サポート要件)、第33条(修正可能な範囲)に違反する情況があるか否かを検討しなければなりません。

以上、参考になりましたら幸いです。ご質問などございましたら遠慮なく弊所までご連絡ください。
	
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Beijing East IPについて
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元中国国家知識産権局局長の高盧麟が会長の中国北京の特許事務所&法律事務所で、主に海外企業へ中国での特許・実用新案・意匠・商標等の出願、特許調査、無効審判・訴訟代理、セカンドオピニオンの提供など知的財産のトータルサービスを提供しています。東京にも事務所があります。

バンゼン合同会社について
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バンゼンは日本の技術と中国をはじめ世界各国の技術を紹介し、企業ビジネスマッチングのトータルサービスを提供しています。

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