Mail magazine中国知財ニュースレター 第十六号

No.016中国知財ニュースレター 第十六号

2018.06.22

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 中国知財ニュースレター 第十六号 2018.06.22
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 VANZEN & Beijing East IP
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 ◆ 中国IPオピニオン 第十六回
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【中国における技術での投資に関して】(一)

 今回からは中国で技術を出資する場合について考えていきたいと思います。この方面に関しては主に『中華人民共和国会社法(公司法)』等の法律で規定されています。会社法では第27条で「出資者は貨幣での出資をすることができる。また現物、知的財産権、土地使用権等貨幣で評価でき、且つ適法に譲渡できる非貨幣財産でも出資することができる。ただし法律、行政法規が出資できないものとして規定する財産は除外する。出資する非貨幣財産は評価を実施し、財産価値を検証するが、実際よりも高く評価すること、或いは低く評価することをしてはいけない。法律、行政法規において評価に関して規定がある場合は、それらの規定に従って評価する」と規定しています。

 このように中国では知的財産権での出資は会社法で許されたものとなっていますが、実際にどのように出資するかはよく考える必要があります。

<佐藤孝弘>
バンセン合同会社COO、法学博士、北京大学企業と会社法研究センター客員研究員(教授格)、華東政法大学経済法律研究院客員研究員(教授格)、単著2冊、翻訳5冊(翻訳代表等)、中国語、英語等で50編以上学術論文発表。中国での滞在は23年間におよび、弁護士事務所、コンサルティング会社などで法務やコンサルティング業務に関わる。現地の弁護士事務所と共に知財関連の講座を10数回開催する。


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 ◆ 中国IPニュース
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■1.8月1日から専利登録料等を徴収停止、専利年金引き下げ期間を延長
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国務院総理の李克強は、4月4日に国務院常務会議を開催し、企業に関連する手数料をさらに削減し、実質コストを削減することを決定した。党中央部署及び『政府業務報告』の要求を履行し、さらに社会的負担を軽減し、実体経済の発展を促進するために、2018年8月1日から、専利手数料(中国国内部分)における専利登録手数料、公告印刷手数料及び書誌事項変更手数料(専利代理機関、代理人委託関係の変更)並びにPCT(特許協力条約)専利出願手数料(国際階段部分)における送付手数料の徴収を停止し、条件に合致する出願人については専利年金の軽減期間を専利権付与日から6年以内から10年以内に延長し、条件に合致する特許出願については第一回拒絶理由通知書回答期間満了前に出願者が取下げ申請をしたものは(すでに意見応答を提出したものを除く)特許出願実体審査請求手数料の50%を返金する。

http://www.sohu.com/a/227365635_355430
http://szs.mof.gov.cn/zhengwuxinxi/zhengcefabu/201804/t20180416_2868702.html


■2.習近平はボアオ・アジアフォーラムにおいて知財保護強化を提起
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2018年4月10日午前、ボアオ・アジアフォーラム2018年年会が海南省ボアオで開幕した。習近平国家主席は開幕式に出席し、『開放が繁栄を創造し、イノベーションが未来をリードする』のテーマで講演を行い、知的財産保護の強化は財産権制度改革の最重要項目であり、また中国の経済競争力を高める最大のインセンティブであることを強調した。これについては、外資企業から要求を受け、中国企業からは更なる要求を受けたことを反映している。今年、国家知識産権局を再建したことを通じ、法執行力を改善し、法執行力を強化し、違法コストを顕著に上昇させ、法律の抑止効果を充分に発揮させる。中国及び外国企業の正常な技術交流協力の展開を奨励し、中国の外資企業の法的知的財産権を保護する。また外国政府に対しても中国の知的財産権に対する保護を強化するよう要望する。

http://ip.people.com.cn/n1/2018/0411/c179663-29918754.html


■3.5月1日から輸入抗癌薬のゼロ関税を実施 新薬の輸入を加速
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4月12日に李克強総理の主宰で開催された国務院常務会議で、国務院は新薬の輸入発売の加速化を指摘した。臨床試験申請の承認制度を満了黙認性へと変更し、輸入化学薬品については企業の検査結果による通関に変更し、ロット別の強制検査はしない。また、知的財産の保護を強化する。新化学薬品について最高6年のデータ保護期を設置し、保護期間内同種の発売は承認しない。中国と国外で同時に発売された新薬に対し最長5年の専利保護期間を補償する。品質監督管理を強化し、輸入薬品の国外生産現場の検査を強化し、模倣品の製造と販売を厳しく取り締まる。

http://news.sina.com.cn/c/2018-04-13/doc-ifyuwqfa0077298.shtml


■4.商標法改正に関する公開意見募集
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第19党議会の精神を徹底的に遂行し、知的財産の創造、保護、利用を強化し、商標知的財産権の品質と審査効率を徹底的に向上させるため、商標局は商標法の改正を開始する。社会公衆の意見を幅広く聞くため、法律の質をさらに向上させ、新しい時代の要件を満たす商標法改正案を作成し、社会への公開意見募集を開始する。

http://sbj.saic.gov.cn/tzgg/201804/t20180402_273481.html


■5.国家知識産権局は『2017年中国専利調査報告』を公開
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このほど、国家知識産権局は『2017年中国専利調査報告』を国民に公開した。全国専利調査の成果が公表されたのはこれで3回目である。2017年専利調査は全国23省(自治区、直轄市)が対象となり、2016年末時点で有効専利を保有している専利権人及びその有効専利について調査を行った。調査報告によると、専利権侵害の賠償判決力は強化されていることが示されている。2016年の専利権侵害訴訟案件において賠償なしを選択した割合は46.7%から25.5%に下がり、大幅に減少した。賠償額は50万元以上の比率が顕著に増加し、そのうち賠償額50万元から100万元の割合は3.8%から15.3%に増加し、賠償額100万元以上の割合は1.7%から10.7%に増加した。

https://mp.weixin.qq.com/s?__biz=MzA4NDAzMjcyOA%3D%3D&idx=7&mid=2686674094&sn=13b1f6dc1b32b27a6047f9702f85f8df


■6.北京法院は知的財産司法保護判例トップ10を発表
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2018年4月20日、北京市高級人民法院は記者会見を開催し、2017年北京市法院知的財産審判業務の基本情況を紹介し、また2017年度北京市法院知的財産司法保護「判例トップ10」及び「イノベーション関連判例トップ10」を発表した。そのうち、「新華字典」商標侵害及び不正競争紛争案、「中国好声音」著作権侵害紛争案、「老幹媽」商標侵害及び不正競争紛争案等、社会の関心が比較的高い案件が入選した。
2017年北京市法院は人民のための司法、公正な司法を堅持し、知的財産審判機能を十分に発揮し、案件受理数が大幅に増加している情況で、結審数も再び史上最高を更新した。全市三級法院が新規で受理した各類知的財産案件は合計41320件で、前年同期比で43.1%の増加となり、審結は合計37522件で、前年同期比で38.7%の増加であった。

http://news.sina.com.cn/c/2018-04-20/doc-ifznefkf4799538.shtml


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 ◆ 中国IP豆知識
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■今回のテーマ:
『補正要件の関連規定と、明細書作成・OA対応における注意点』

現在、中国国家知識産権局は補正要件の審査に対して比較的厳しく、自発補正、OAに対する補正、分割出願手続において、クレームの補正や説明が適切ではない場合、審査官に補正要件違反を指摘される可能性があります。そこで、今回は関連規定について説明し、明細書作成、OA対応の際の注意点について説明します。

1 補正要件の関連規定
補正要件に関連する規定は下記のとおりです。

(1)専利法第三十三条
出願者は、その出願書類に対して補正を行うことができるが、特許及び実用新案に対する出願書類に対する補正は、元の説明書及び権利要求書に記載した範囲を超えてはならず、意匠に対する出願書類の補正は、元の画像又は写真で表示した範囲を超えてはならない。

(2)専利法実施細則第四十三条
本細則第四十二条の規定に基づいて提出される分割出願は、元の出願日を維持することができ、優先権を有するものについては、優先権日を維持することが出来るが、元の出願に記載された範囲を超えてはならない。

(3)専利法実施細則第五十三条
専利法第三十八条の規定に基づき、特許出願は実体審査を経て拒絶しなければならない状況とは、以下のものを指す。
(1)(2)……
(3)出願の補正が専利法第三十三条の規定に合致せず、或いは分割出願が本細則第四十三条第1項の規定に合致しない場合

(4) 専利審査指南第二部第八章5.2.1.1
元説明書及び権利要求書に記載された範囲は、元説明書及び権利要求書の文字どおりに記載された内容と、元説明書及び権利要求書の文字どおり記載された内容及び説明書に添付された図面から直接的に、疑う余地も無く確定できる内容を含む。

2 明細書作成における注意点

(1)明細書の構成において、できるだけ多段階的に総括するのが好ましいと考えます。
[例]
元の明細書にA範囲とC範囲のみを記載していたにもかかわらず、出願後補正の際にB範囲(A範囲
(2)複数の内容を混合させると審査の際に一つの方案であると誤解され、補正を制限されることがあります。これを防ぐため、各実施例、交換例の境界を明確に区別するよう記載するのが好ましいと考えます。
[例]
実施例1:要素A、要素B、要素Cを含む
実施例2:実施例1を基礎としてさらに要素Dを含む
実施例3:実施例2を基礎としてさらに要素Eを含む
このように実施例が複数ある場合は3つの実施例を明確に区別するよう記載するのが好ましいと考えます。

(3)いくつかの実施例がある場合、各要素が入れ替わる可能性について記載するのが好ましいと考えます。
[例]
実施例1:a1、b1、c1
実施例2:a2、b2、c2
このような実施例において、a1とa2、b1とb2、c1とc2が入れ替わる可能性がある場合は、明細書に説明を記載するのが好ましいと考えます。

(4)明細書の説明において、長い文の使用を避け、ひとつの文の一部をクレームの中に追加したために補正要件違反を指摘されるのを防ぎます。

(5)クレーム数及び費用を考慮する場合、将来クレームアップの可能性がある候補の発明案は明細書に記載しておき、将来の補正の備えにすることができます。

3 OA対応における注意点

(1)できるだけ元説明書及び権利要求書の文字どおりに記載された内容か、元説明書及び権利要求書の文字どおり記載された内容及び説明書に添付された図面から直接的に、疑う余地も無く確定できる内容を使用するのが好ましいと考えます。

(2)毎回OAの補正に対して明細書中の具体的な出処を明記し、且つ補正要件違反ではない理由を十分に論述することによって、審査官が補正要件違反の拒絶理由通知書を発行するのを防ぐことができます。


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(Beijing East IP連絡先: info@beijingeastip.com )


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Beijing East IPについて
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元中国国家知識産権局局長の高盧麟が会長の中国北京の特許事務所&法律事務所で、主に海外企業へ中国での特許・実用新案・意匠・商標等の出願、特許調査、無効審判・訴訟代理、セカンドオピニオンの提供など知的財産のトータルサービスを提供しています。東京にも事務所があります。

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バンゼンは日本の技術と中国をはじめ世界各国の技術を紹介し、企業ビジネスマッチングのトータルサービスを提供しています。

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